アロマセレクト ブログ
こんにちは。坂本です。
あまりクロモジのネタを書くと、岩瀬嬢から叱られますが、気にせず本日はクロモジネタで。
クロモジの精油(エッセンシャルオイル)を抽出する際に、フローラルウォーターなるものも一緒に作られることは何度もブログにて解説させていただいております。
その中で、以前に坂本は間違いを書いてしまいましたので、まずはそちらの訂正から。
クロモジのフローラルウォーターについて成分分析をしたのですが、先日に富山大学を訪問した際に、改めてデータを確認させていただきました。
ほぼリナロールだけ、というニュアンスのことを以前に書いておりましたが、間違ってました。。。申し訳ありません。
リナロールと1,8-シネオールが同じ程度含まれていて、その半分ほど不明成分が含まれているというのが正しい結果です。
リナロールも1,8-シネオールもどちらも分子式で言うと、 C10H18O、分子量は154.25。
同じなんですね。これは奇遇です。
そんなクロモジのフローラルウォーター、まだ販売には至っておりません※が、様々な用途に使用できるため身内では広く使用しております。
※現在は販売を行っております。
>Kuromoji芳香蒸留水150ml(スプレータイプ)
>芳香蒸留水Kuromoji 300ml
お風呂にいれたり、化粧水にしてみたり、あるいは先日は電気式のディフューザーにも精油ではなくフローラルウォーターを使用してみました。
精油とはまた異なった、素敵な香りが充満しました。
ところが、このフローラルウォーター、わりと古くてもあまり香りが変わりません。
どれくらい古くても香りが劣化しないかと言うと、1年2か月前のものです。
家で冷暗所に保管している分には薄々、数カ月経っても劣化していないような気はしておりました。
今回、香りを確認してみたのは、抽出工場の特に冷蔵庫にしまっておいたわけでもなく、ペットボトルにぞんざいに保管してあったフローラルウォーターです。
2015年春に精油と一緒に抽出したフローラルウォーターです。
今後、フローラルウォーターの商品化を考える上でも、このことはそろそろきちんと調査しなくてはなりません。
低刺激ではありますが、肌に直接塗布することが多い代物です。
精油と異なり、水が主成分ですので有害な細菌やらなにやらが発生している可能性も考えられます。
フローラルウォーターは一度沸騰し蒸留したものなのですが、沸騰しただけで抽出機内部に残留した水については夏場に2日も放置しておくと、目に見えるほどのカビが発生してしまいます。
あ、断っておきますが、決して怠けて水を処理しなかったわけではありませんよ。
あくまでも実験です。実験。
一方のフローラルウォーターは放置していても一向に目に見えるようなカビも発生しません。
そんなわけで、1年2か月前のフローラルウォーターを業者さんに細菌検査を行ってもらうことにしました。
検査結果は、、、何と、細菌はどれも陰性。
実際にはリナロールや1,8-シネオールが多分に溶け込んでいますので、飲んではいけませんが、食用の観点からもクリアしてしまいました。
精油は水に溶けないわけではなく、溶けにくい、というのがポイントかもしれません。
幾分かは溶けるのです。
蒸留という過程を経た水分な上に、リナロールや1,8-シネオールと言った精油成分が入っているせいで、細菌の皆様には生きにくい環境が出来上がっているのかもしれません。
ここからはただの推測になります。
リナロールや1,8-シネオールは分子の構造上、わりと安定した物質であると思われます。
分解しにくそうですし、空気中での酸化もしづらいでしょう。
(さて、この先は就寝前にお読みになることをお勧めします。安眠効果抜群でしょうから。)
例えばリナロール。
リナロールは精油成分の中ではアルコールと呼ばれる物質に分類されます。
え
アルコールはモノによってはアルデヒドあるいはケトンといった物質群、さらには酸と呼ばれる物質群に酸化されてしまうものが多くあります。
アルコールは通常は一級アルコール、二級アルコール、三級アルコールに分類されますが、リナロールは三級アルコールに属します。
図で書くとこんな感じです。
ちなみに
C:炭素
O:酸素
H:水素
です。
OHというのが含まれているものが、いわゆるアルコールと言われる性質をもっている物質です。
OHにくっついているC(炭素)のすぐ隣りにC(炭素)が1個あれば一級アルコール、2個あれば二級アルコール、3個あれば三級アルコールです。
なお、これはゼロ級アルコールとは言いません。
メタノールという物質です。性質上は1級アルコールに分類されます。
メタノールは良く聞く名前ですね。
でも飲むと毒ですので、取扱いにはご注意くださいませ。
さて話を戻しますが、リナロールは三級アルコールに属していて、ここからがポイント。
三級アルコールは極めて酸化しにくい物質なのです。
水中でもリナロールや1,8-シネオールが長期的に安定して含まれているため、細菌が発生しないのではないかなぁと思っています。
他の種類のフローラルウォーターも酸化しづらい安定した精油成分が多く溶け込んでいるものは、細菌が発生しづらいのではないかと思われます。
今後も頻繁に抽出できそうなニオイコブシのフローラルウォーター、タテヤマスギのフローラルウォーターも要注目ですね。
ところで、最後に一言。
フローラルウォーターって響き、とてもお洒落だと思いませんか?誰が命名したのでしょうね。
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