アロマセレクト ブログ

精油分析・ガスクロマトグラフィーのお話
更新日 2016/8/25(木)

こんにちは。アロマセレクトの坂本です。
本日は前回の続きとなります。

 

前回のブログは
α-ピネンとβ-ピネンって、、、
http://aroma-select.jp/blog/1358

 

構成する原子が同じでも異なる構造をしている物質、異性体についてお話をさせていただきました。

 

本日は、予告通り、分子量が大きくなると、ガスクロマトグラフィーによる精油(エッセンシャルオイル)の成分分析が困難になってしまう理由について述べたいと思います。

 

ガスクロマトグラフィーって何?という方はこちらをどうぞ。

 

精油の成分分析 ~ガスクロマトグラフィーの解説~
http://aroma-select.jp/blog/914

 

精油(エッセンシャルオイル)の成分を分析するためにもっぱら利用するガスクロマトグラフィーという手法を紹介しております。

さて、まずは以前のブログでも掲載しましたが、ガスクロマトグラフィーの結果を掲載いたします。ガスクロマトグラフィーの機械にクロモジ精油を入れて機械を作動させるとこのようなグラフが出力されます。

 

クロモジの分析データ

クロモジの分析データ

 

 

成分検出は山がお知らせ

 

 

グラフをご覧いただければ山になっている部分がありますね。

この山になっている印が、何かしらの成分を検出したということです。
山の面積が広いほど、含有率が高いのです。

31という数字の近くにlinaloolと書いてありますね。リナロールが検出されましたよ、という手書きのメモです。
ガスクロマトグラフィーでは、一つの成分で一つの山を作ります。一つの成分が全く異なる場所で二つ以上の山になることはありません。

 

検出機を作動させてから、時間経過とともに順番に様々な成分が検出されます。グラフの横軸は検出機の作動をスタートした時間です。1分後、2分後、と時間が経つにつれて検出されたものは右の方で山をつくります。検出機を作動させてから早い時間に検出されたものほど左の方で山ができます。

 

さて、早い時間に検出されるものと遅い時間に検出されるものとで化学的な性質に特徴があります。
早い時間(グラフの左の方)に検出されるものは軽い成分である傾向があります。逆に遅い時間(グラフの右の方)に検出されるものは重い成分である傾向があります。
早く検出されるかどうかは、重量だけに左右されるわけではありませんが、傾向としてそのようになっているとお考えくださいませ。

ところで、精油が軽いとか重いってどういうことでしょうか。

 

 

 

炭素の数と重量

 

 

精油を構成する原子はほとんどが炭素と水素です。たまに酸素も含まれていますが、今のところ、この3つで様々な成分を作り出しています(植物ってすごいですね)。

 

例えば、一つの分子を構成するのに炭素原子の数が少なければ軽い成分ということになります。逆に炭素原子の数が多ければ重い成分ということになります。
例えば水素原子1つの重さを1とすると

リナロールは炭素10個と水素18個と酸素1個で一つの分子を作り合計の重さは約154。
α-ピネンは炭素10個と水素16個で一つの分子を作り合計の重さは約136。

 

リナロール

リナロール

 

α-ピネン

α-ピネン

 

精油成分の基本骨格は炭素が作り上げているといっても過言ではありません。
基本的には炭素の数が少ないと軽い成分炭素の数が多いと重い成分であると言えます。

 

さて、ガスクロの成分分析手法としては、候補となる成分を予測した上で、その性質を比較して初めて成分が分かるのです。

リナロールが含まれていると予想したならば、リナロールが何分後に検出されるかを調べておきます。クロモジの成分の中にリナロールと同じ時間に検出された成分があれば、リナロールであると決まるのです。

 

さて、前回のブログとつながってきました。
炭素が少ない成分よりも炭素が多い成分の方が、異性体が多いということを前回お話しました。

 

例えば、、、

炭素が1つ、水素が4つで構成される成分・・・1種類
炭素が2つ、水素が6つで構成される成分・・・1種類
炭素が3つ、水素が8つで構成される成分・・・1種類
炭素が4つ、水素が10個で構成される成分・・・2種類
炭素が5つ、水素が12個で構成される成分・・・3種類

 

炭素や水素がどのようにして成分を作る性質があるかを覚えれば、炭素が6個の場合に何種類の異性体があるか、炭素が10個の場合は何種類の異性体があるか、考えるのはパズルのようなものです。
炭素の数が多くなればなるほど、異性体の数は多くなります。つまり、重くなればなるほど予測しなくてはいけない候補の物質が多数存在するのです。

 

100種類も候補が存在するならば、全ての物質を用意して性質を調べるというのは途方もない時間がかかります。

薬品会社に売っていれば買うことができますが、売っていないものは人工的に作らなくてはなりません。

5分、10分でできるものではなく、何日も何日もかけてやっと作り上げることができるものばかりです。そんなものを100種類用意するなんて・・・難しいですよね。

 

ということで、グラフの右の方、つまり重い成分が検出された場合、その成分が何者かを判別するのは困難なのです。

 

そういう理由で、例えばヨモギの精油は重い成分が多数検出された中で、1種類に絞って別の方法(NMR:核磁気共鳴)で成分を判別したのです。
速報:ヨモギ精油の成分
http://aroma-select.jp/blog/1222

 

成分分析に手間ひまがかかったとしても、その成分が何か判別し、どんな効果をもたらすのかが分かれば使用方法にも幅が広がりますね。

そのような思いの他、化学式などに触れると坂本がワクワクドキドキするというまったくもって個人的な趣味も兼ねた自己満足の思いもあるのですが・・・。

 

 

余談

 

神の舌を持つ男というドラマをやってますよね。

舌にのせるとどんな成分か分かってしまうという男が主人公です。(坂本は見てはいません。なぜなら21時を過ぎると寝てしまうことが多いから)
ドラマのイントロページには、舌にのせたものをガスクロマトグラフィーばりに分析する能力を持つ蘭丸という記載もあります。

坂本も香りを嗅いだだけで、瞬時に全ての成分が判別できるようになりたいです。
なれたときは、神の鼻を持つ男と言っていただければと思います。

 

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