アロマセレクト ブログ
さて、前回、4月から加わった香りのスペシャリスト・中氏の修士論文の触り部分を紹介しました。
匂い判別のメカニズム ~精油の香り~
https://aroma-select.jp/blog/759
今回はその続きです。
今回のトピックスは
- 香りの判別には大まかな認識と詳細な認識がある
2つのトピックスについて解説したかったのですが、長くなってしまいそうなので、もう一つは次回にします。
香りの判別には大まかな認識と詳細な認識がある。
例えば何度も話に出てきているゲラニオールを例にとりましょう。
匂いの認識というのは、気体となって浮遊しているゲラニオールの分子を鼻の中でキャッチするところから始まります。
ゲラニオールの記憶がすでにある場合は、ゲラニオールの記憶を呼び起こしてゲラニオールであるという認識をします。
一方、ゲラニオールの記憶がない場合は、この香りがゲラニオールであるということを記憶します。つまり学習です。
さて、ゲラニオールと同じような形をしたファルネソールという物質があります。
ファルネソールはゲラニオール同様、バラにも含まれており、香水の原料にもなる成分です。
そのファルネソールは、ゲラニオールの左端にさらに炭素と水素のかたまりがくっついております。
くっついているのはこちらです。
ゲラニオールとファルネソールは似ているけれども分子の長さが違うという関係です。
このとき、ゲラニオールとファルネソールは大まかな認識という意味では脳の同じ部分で認識します。
そして長さが異なることで詳細な認識をするのです。
香り成分を受容する糸球体という部分の活動パターンを観測することでわかったことのようです。
ちなみに論文中では、ミツバチの糸球体を観測しております、
面白いことに、解剖学的には、嗅覚の特徴、メカニズムは多くの動物が共通しているのだとか。
ぜひ坂本の嗅覚も(できれば解剖せずに)観測してもらいたいところです。
なお、大まかな認識に関わってくるのは、成分の中の特徴的な一部分です。
ゲラニオールの場合、見た目にも特徴があるの部分、端っこにある -OH という部分です。
Oが酸と、Hが水素です。特に何も書いていない部分は炭素と水素です。(世の中の多くの物質が炭素と水素からできているので、炭素と水素は省略して線で書いちゃうことが多いのです)
まとめると、ゲラニオールとファルネソールの場合は、嗅覚のメカニズムとしては、大まかな認識として同じ区分けがなされ、その後、詳細な認識として別の物質と判断されるのです。
世の中には何万という香りのもとがありますが、何万の物質に対応した受容体があると大変ですよね。効率よく香りを認識するメカニズムがあるからこそ、多数の香りを識別することができるのですね。
とてもありがたいことです。
さて、出し渋りましたもう一つのトピックスについて次回解説したいと思っています。
次回予告。
- 香りの元の成分の認識に、濃度は関係ない
言われてみれば、そうだよな、というのが直感的にも分かることですね。
坂本も、分かっちゃいるが気づいていなかったことです。改めて論文という形で読んでみると気づきのある内容でしたが、それはまた次回。
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