アロマセレクト ブログ
暑い日が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
クロモジブログ評判の坂本のブログでございます。
何故クロモジブログかって?
安眠効果抜群だからです。
クロモジの精油(エッセンシャルオイル)を部屋に焚きながら、坂本ブログを読めば、不眠症も一気に解消できるかもしれませんね。
さて、そんな坂本は本日は富山大学にお邪魔してきました。
目的は成分分析でございます。
本題のテーマを読むと、もはや意味不明と思われる方も多々いらっしゃるかと思いますが、どうぞお付き合いくださいませ。
(しかも、いつもよりも解説がじゃっかん乱暴かもしれません・・・申し訳ありません)
構内で見つけた桜の木
駐車場から行き先の研究室まで歩いていると歩道沿いに桜の木を見つけました。
完全に葉桜です。
桜のちょっと太めの枝ですね。幹と言った方がよいのか微妙なところ。
あー、やっぱミズメザクラに似てるわ、、、
写真だと分かりにくいかもしれませんが、桜の木を見ているとミズメザクラと似てるなぁとしみじみと思います。
道中ミズメザクラのことを思い出してしまったので、研究室に到着してから共同研究の先生にとあるお願いをしてみました。
ブログに載せたいのでミズメザクラの成分分析の生データを見せてください。
先生は快く提供してくれましたので写真をパチリ。
そのデータがこちら。と思ったら、ものすごく焦点がぼやけてしまってました・・・。
先にエクスキューズです。

ミズメザクラのガスクロ分析
検出された成分の数だけ、山が出現します。
2つしかありませんね。しかも、1つ目の山は実験の過程で必ずでてきてしまうものなので、ミズメザクラの成分ではありません。
つまるところ右の方に出ている大きな山、これだけがミズメザクラに含まれる成分として検出されたものです。
含まれるのは100%サリチル酸メチルです。
湿布にも含まれてます。疲れを癒すことができる成分なのでアロママッサージで使うとよいですね。
さてさて前置きが相変わらず長くなってしまいましたが、本題。
ヨモギの成分分析
ヨモギは日数経過による成分変化が他の精油(エッセンシャルオイル)に比べて大きいようです。
そこで時間経過したものと先月末にとったばかりのものの2つを比べることにしました。
しかしながら、結論から言いますと主要成分が分からない・・・。
通常の水蒸気蒸留では極めて精油(エッセンシャルオイル)の収量が少ないのです。
これは分子量が重くて気化しにくい成分である可能性が高いのです。
思った通り、、、ガスクロ分析の中で、気化しにくいのが特徴である箇所に成分が多数みられました。
少量ならば、
α-ピネン、β-ピネン、1,8-シネオールやリモネン、メントールやチモール、ザビネンと言った成分も見られます。
しかし、主要成分と思われるものは上述の通り、水蒸気蒸留で抽出しづらいという特徴と一致するような形で成分が見られました。
ちなみにガスクロの原理はこちら。
精油の成分分析 ~ガスクロマトグラフィーの解説~
https://aroma-select.jp/blog/914
気化しにくいものというのは分子量が大きい傾向にあるのです。
分子量が大きいということは、一つの分子に含まれる炭素や水素の数が多いのです。
一つの分子に含まれる炭素や水素の数が多くなればなるほど、色んな構造の可能性があって、一体全体、どの構造が正しいのか検討が付かないという原理です。
マッチ棒2本の組合せならば、作れる形は数パターンだけれど、マッチ20本の組合せならば作れる形のパターンが数限りなくできてしまうようなものです。
ガスクロというのは、基本的には成分の正体をある程度予測した上でしらみつぶしにしていく手法なので、成分の正体の候補がありすぎると正体がつかみにくいのです。。。
残念。終わり。
とはいきません。
せめてもっとも大きな主成分だけでも調べようではないか、ということで、ガスクロではない方法が登場します。
こちらはなかなかに高価な装置を使うこと、熟練でないとできないため、富山大学さんにお任せしてしまいました。。。
結論から言いますと、NMR(核磁気共鳴)という装置で分析することにしたのです。
ちなみに先ほどリンクを貼ったガスクロ解説のブログの最後に、アロマセレクトではNMRは当面使用しないでしょう、ということを書いておりましたが、使用する可能性大になりました。嘘ついてしまいました・・・すみません。
NMRという装置は非常に難しく、実験データから分子の構造を読み解くのはなかなかの至難の業です。
そもそもNMRという装置で分析するためには、少なくとも、その主要成分のみを取り出すことができないといけないのです。
ガスクロのように、たくさんある成分をまとめて装置に注入して分析するわけではないのです。
まずは、主成分らしきものを分離することができるかどうかの実験から行われました。
とにもかくにも、その実験結果がこちら。
これ、TLCと言います。Thin-Layer Chromatographyだったかな。
日本語では、薄層クロマトグラフィー。
実験室では日本語で言う人はあまり見たことがありません。っていうか全くみたことはありません。
ちなみに、別業界では、TLCはTender Loving Careの略だったりもします。
やさしく愛情をもって扱いましょう、ということです。
こっちの方が良いですね。
なんとなく成分が分離しているのが分かりますでしょうか?
これによって、本当に分離できそうかどうかを判定するのです。
分離できる可能性が見えてきたので、実際に分離を行いますが、ここからは時間や技術的な関係で富山大学さんにお願いをしております。
ところで先ほどの写真、同じようなものについて、どこかで見覚えが・・・。
精油の成分分析 ~ガスクロマトグラフィーの解説~
https://aroma-select.jp/blog/914
ガスクロを紹介したブログの中でこんな写真を掲載しております。
これ、坂本が実験したものなのですが、黒インクを複数の色に分離したものです。
これがまさにTLCと同じ原理なのですね。
こと細かく記載してしまいましたが、実際のところ、まだ主成分は分かっておりません。
分からないという結果になるかもしれませんが、それでもトライしてみる価値はあると思っています。
最後に余談
NMRという分析装置を使用するにあたり、主要成分らしきものを分離する作業あるいは、装置で実際に分析する作業は、熟練の学生さんが実際に動いてくれます。
富山大学の先生が、学生さんにお願いするときの風景がとても微笑ましかったです。
学生さんが実験に勤しんでいる様子をうかがいつつ、恐る恐る「○×さん、、、今、忙しい? 一つやってもらいたいことがあるのですが・・・」
学生さんもちょっと苦笑いしつつ「いいですよ」と。
オーバーワークになることをわかっていつつ恐る恐る部下に仕事をしてもらいたいことを告げる上司と、「やれやれ付き合ってあげるか」という部下のやりとりに何か似ています。
よくよく考えると、実験に向き合う大学4年生ともなると教師と学生という関係というよりも、上司と部下の関係に近いのかもしれません。
少なくとも学生さんは、答えの分かっていることをしているのではなく、新しい未知の領域にトライしているのです。
教授や准教授と一緒に、未知なる課題に向き合うというの形は、すでに社会人としての一歩を踏み出しているかのようです。
大学時代に本業一本で本気で取り組むというのは、実はとても大切なことかもしれません。
坂本はアルバイトとかにうつつを抜かしてしまいましたが・・・。
以上、蛇足でした。
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