「精油って良く分からない」「アロマオイルと何が違うの?」「精油は使いづらそう…」このような精油に関する疑問や分かりづらいことをなくし、精油のことを身近に感じていただきたい。そんな想いから、和精油のメーカーであり、アロマテラピーの普及に取り組む私たちアロマセレクトが精油の基礎知識を分かりやすくお伝えします。精油とは精油(エッセンシャルオイル)とは、植物の花、葉、茎、根、枝、幹、果皮、種子、樹脂、樹皮などから抽出した天然の芳香成分です。香りそのものを楽しめる他、アロマテラピー(美と健康に役立てていく自然療法)に役立てることができます。<アロマテラピーとは>“古くからひとびとは、ごく身近にあった植物を薬草として食べたり、塗ったり、香りを嗅いだりして、傷や病気を治すために利用してきました。日本でも、芳香植物は「香薬」と呼ばれ、薬の原料としての役割を担っていました。世界中に広がり、受け継がれた植物療法は、体系化されて現代医学のもとになっていますが、中でも「香りのチカラ」に注目したのが、アロマテラピーの源流です。20世紀初頭に「アロマテラピー」という言葉が登場し、精油やアロマテラピーの研究が進んだ現在では、美容、健康の増進、リラクセーション、スポーツ、介護や医療、予防医学などでも活用されています”参考:(公社)日本アロマ環境協会|アロマを楽しむ|アロマテラピーとは精油の類語(関連用語)・和精油和精油(日本産精油、国産精油)は、日本の土地で育った植物から作られた精油です。スギやヒノキ、クロモジやユズなど、様々な種類の和精油があります。・キャリアオイルキャリアオイルは、精油を希釈する際にベースオイルとして使う植物油です。精油の成分を運ぶ(キャリーする)ことから、キャリアオイル(carrier oil)と言われています。・アロマオイルアロマオイルは、精油に香料・キャリアオイル・無水エタノールなどが添加されたものを指します。明らかに価格が安いアロマオイルの場合は、精油が使われていない可能性もあります。・フレグランスオイルフレグランスオイルは、合成香料です。肌に使うパフュームオイル(香水の一種)や、空間に使うルームフレグランスなどがあります。・ポプリオイルポプリオイルは、ポプリ(室内香)の香り付けに用いる、合成香料を含んだ芳香用のオイルです。精油は全く含まれていないか、ごく微量にしか含まれていません。精油とアロマオイルの違い・見分け方天然の芳香成分である「精油」と、その精油を香料やキャリアオイル・無水エタノールなどで希釈した「アロマオイル」。商品の定義上の違いは明確です。しかし、お店で商品を購入する際に「精油を選んだつもりが、実はアロマオイルだった」ということが起きるケースが少なくありません。精油とアロマオイルを見分けるポイントは4つあります。全て当てはまる場合、その商品は精油であると言えます。<精油とアロマオイルを見分けるポイント>商品ラベルに、精油・エッセンシャルオイル・Essential Oilのいずれかの記載がある商品ラベルに、植物の学名・抽出部位・抽出方法・産地についての記載がある容器に、光による品質劣化を防ぐための「遮光瓶」が使われている価格が高価(目安としては5mlで数千円~1万円超)<精油とアロマオイルの違い>精油アロマオイル商品の定義天然の芳香成分精油を香料・キャリアオイル・無水エタノールなどで希釈したものラベルの表記①「精油」または「エッセンシャルオイル」「Essential Oil」と記載されている②植物の学名、抽出部位、抽出方法、産地が記載されている「アロマオイル」または「フレグランスオイル」、「ポプリオイル」と記載されている価格帯(目安)数千円~1万円超(5ml)数百円~数千円(5ml)例えば、私たちアロマセレクトの【精油】クロモジ枝葉の商品ラベルには商品名の「Kuromoji」と学名「Lindera umbellata」、精油であることを明示する「Essential Oil」と記載。ラベルの裏面には、抽出部位・抽出方法・産地を記載しています。【写真】精油の商品ラベル(表面)【写真】精油の商品ラベル(裏面)この【精油】クロモジ枝葉は、5mlで5,280円(2024年1月1日時点の価格)です。精油の価格はアロマオイルと比べると総じて高価になります。価格が高くなる大きな理由は、抽出量にあります。植物や樹木から抽出できる精油(天然の芳香成分)の量は、わずかな量(極少量)です。例えば、私たちがクロモジの枝葉から5mlの精油を抽出するために使用するクロモジの枝葉は約5kg。原材料の1,000分の1の量しか抽出できません。天然の芳香成分が凝縮された精油は、その希少性から価格が高くなります。精油の種類精油には様々な種類があり、同じ植物や樹木でも、産地・季節・抽出方法などの様々な要因によって成分や香りに違いが生じます(天然由来ならではです)。そういった意味では「精油の種類は無数にある」とも言えます。そこで本稿では、富山の森で育った木々の香りを精油にしている私たちアロマセレクトが取り扱っている和精油の種類について、香りの特長を交えながらご紹介します。ぜひ、「こんな樹木や植物からも精油が取れるのか」「精油にすると、こういった香りになるのね」等の感想を持っていただけると幸いです。それではどうぞ!タテヤマスギの枝葉タテヤマスギは森林浴の代表ともいえる香りです。葉はみずみずしい緑の香りが感じられますが精油になると微かに柑橘系のようなフルーティーな香りも感じられます。森林浴の香りを凝縮したエッセンシャルオイルとも言えます。【樹木について】原材料であるタテヤマスギは富山の県木でもあり、広く分布しています。その幹は建材としても多く利用されております。さらなる森林整備の両面から、利用を進めたい樹木です。参考:【精油】タテヤマスギ 枝葉|AROMA SELECTクロモジの枝葉富山のクロモジは爽やかな甘味のあるややグリーン寄りの香りです。精油の採取季節によりリナロールが多く含まれる時期や1-8シネオールが多く含まれる時期があります。天然由来につき香りに揺らぎがあります。【樹木について】クロモジの若枝は緑色ですが、成長するにつれて黒色の斑点がみられることから「黒文字」と言われています。スギの生育する地表近くに自生していて、繁殖力も強い樹木です。5月下旬には黄色の小さな花が咲き、秋ごろには赤い実がつきます。樹皮を削ると独特の甘い香りが漂います。スギの生育を促すために刈り取られる間伐材を原料とし精油を作成しています。参考:【精油】クロモジ 枝葉|AROMA SELECTニオイコブシの枝葉樹木から抽出したとは思えないような爽やかで甘いフルーティーな香りを楽しむことができます。バランスの取れた香りであるため、調香師いらずとも言われます。集中力や判断力を向上させる作用もあり、朝の目覚めの時や仕事中のリフレッシュにもおすすめの精油です。【樹木について】やや標高の高いところに自生しています。コブシに似た花を4~5月に咲かせますが、花の下に葉がないことがコブシとの違いです。甘い香りが枝葉に含まれているため、山中では子供たちがお菓子代わりに枝を噛んでいたことから「カムシバ」とも呼ばれています。山頂でニオイコブシを伐採するとふもとまで香ったという話もあるほど、持続力のある香りを放つのが特徴です。参考:【精油】ニオイコブシ 枝葉|AROMA SELECTヒマラヤスギの枝葉清涼感があり、サイプレスをまろやかにしたようなクリアな香りが特徴です。森林浴のような気分を味わうことができ、リラックスしたいときにも最適です。【樹木の特徴】建材として使用されるだけでなく、見た目の美しさから園芸用として家庭の庭に植樹されていることも多く、馴染みの樹木と言えます。参考:【精油】ヒマラヤスギ 枝葉|AROMA SELECTミズメザクラの枝葉成分のほとんどが、サリチル酸メチルで、いわゆる天然の湿布薬。香りもスッとした、まさに湿布そのものですが、天然由来のためか少しマイルドに感じられます。ブレンドの際は少量でも強く香るため注意が必要になります。【樹木について】樹皮が桜に似ていることから、ミズメザクラと呼ばれますが、桜と異なりカバノキ科の樹木です。木こりさんが、疲労回復のために樹皮を体にあてていたという話も聞かれます。関節痛や筋肉痛などのトリートメント、スポーツアロママッサージにお勧めの精油です。参考:【精油】ミズメザクラ 枝葉|AROMA SELECTヒノキの葉ヒノキの葉から抽出される精油は、ヒノキの幹から抽出する精油とは成分が異なり、瑞々しい緑の香りが特徴的です。スーッと鼻に入ってくる感覚が心地良く、森林浴をしている気分になります。【樹木について】古くから日本の建材として利用され、一般的な家屋だけでなく、伝統的な建築物である法隆寺や五重塔にも使われています。富山県では雪の重みに耐えられる建材としてスギが植えられてきたため、ヒノキはたくさんはありません。敷地の境の目印として植えられることが多かったようです。ヒノキは葉と幹で全く香りが異なりますので、葉単独で精油を抽出しています。参考:【精油】ヒノキ 葉|AROMA SELECTヒノキの幹ヒノキの幹から抽出される精油は、懐かしく馴染みのある香りを放ちます。新築あるいはヒノキ風呂の香りとして身近な香りで、リラックスの作用も高く、生活空間での利用の他、玄関でのおもてなしの香りづけとしてもおすすめです。【樹木について】古くから日本の建材として利用され、一般的な家屋だけでなく、伝統的な建築物である法隆寺や五重塔にも使われています。富山県では雪の重みに耐えられる建材としてスギが植えられてきたため、ヒノキはたくさんはありません。敷地の境の目印として植えられることが多かったようです。参考:【精油】ヒノキ 幹|AROMA SELECTヒノキの枝葉ヒノキの枝葉から抽出される精油は、奥の深い香りが特徴です。枝葉の成分がヒノキの幹とは成分が異なるため、いわゆる新築の香りやヒノキ風呂の香りとは異なります。葉の瑞々しい香りと、ウッディな香りがほどよく混じり合い、心地良い香りになっております。【樹木について】古くから日本の建材として利用され、一般的な家屋だけでなく、伝統的な建築物である法隆寺や五重塔にも使われています。富山県では雪の重みに耐えられる建材としてスギが植えられてきたため、ヒノキはたくさんはありません。敷地の境の目印として植えられることが多かったようです。ヒノキは葉と幹で全く香りが異なりますので、枝葉で精油を抽出しています。参考:【精油】ヒノキ 枝葉|AROMA SELECTシソの茎葉フルーティさを感じるシソの香りです。【シソについて】一年草の香木。日本には中国から伝わったとされ、本格的な栽培が始められたのは平安時代とされている。シソの独特の香り成分は、ペリラアルデヒドやリモネン、カリオフィレンなどです。 なかでも成分の半分以上を占めるペリラアルデヒドは、強い抗菌作用・防腐効果があると言われています。クロマツの枝葉αピネンやβピネンの他にリモネンや1.8シネオール等の成分をバランスよく含むクロマツ精油は、爽快な香りの中にもフルーティさを感じる香りが特徴です。頭の中をすっきりリフレッシュしたい時に最適な香りです。【樹木の特徴】潮風に耐えるので海岸沿いを中心に広く自生します。また、防風林として植栽されます。樹皮は灰黒色で、葉は線形、2本ずつが束になる二葉のマツです。参考:【精油】クロマツ 枝葉|AROMA SELECTサワラの枝葉すっきりとして、軽やかな森の香り。成分の多くを3-カレンやαピネンで占めるサワラ精油は、森林浴効果やリラックス効果が期待できます。【樹木の特徴】沢沿いなど湿潤な場所でみられる高さ30mほどになる常緑針葉高木。材はヒノキよりやわらかいため建築には向きませんが、水湿に強いので風呂桶や曲げ物などに利用されます。参考:【精油】サワラ 枝葉|AROMA SELECTローズマリーシャキッと目覚める香り。みずみずしく、シャープでクリアな香りは気分を高揚させてくれます。参考:【精油】ローズマリー|AROMA SELECTアスナロの枝葉湿った土を思わせる独特の香りです。【樹木の特徴】アスナロは日本にのみ自生している樹木です。地域によって「ヒバ」「アテ」と呼ばれることもあります。富山県では希少な樹木ですが、古くから山の敷地境界として植えられることが多い樹木です。防虫効果が高いことから、建材としても非常に優れた素材です。葉の形状がヒノキと類似しているため見分けることは難しいですが、成分や香りは全く異なります。参考:【精油】アスナロ 枝葉|AROMA SELECTラベンダーラバンジンスパイシーで野性的な香りです。参考:【精油】ラベンダーラバンジン|AROMA SELECTユズリモネンが多量に含まれていて、柑橘系特有の爽やかな香りです。心と体を温め、リラックスしたいときにおすすめです。【樹木の特徴】富山県南西部、庄川町で栽培される「庄川ゆず」は、弘法大師によりこの地に広められ、親しまれてきました。日本海側最北端の寒冷地で育つ庄川ゆずの果皮は表面が粗く厚いため、ゆず特有の上品な香気を多く含んでいます。また、上市町の一部地域のユズは、庄川地区の種を引き継いでいると言われています。上市町は立山連峰がすぐ背後に位置しているため冬はとても冷え込む地域です。どちらの地域のユズも厳しい気候に耐え力強く生きています。参考:【精油】ユズ|AROMA SELECT精油の使い方芳香浴アロマテラピーで一番簡単な方法は、芳香浴です。精油さえあれば、特別な道具も使わずいつでもどこでも簡単にできる方法があります。<ハンカチやティッシュを使った芳香浴>ハンカチやティッシュに精油を1滴~2滴垂らして、スンスンと香りを嗅ぐことで頭や心を落ち着けることができます。家でもオフィスでも外出先でも手軽にできる芳香浴です。なお、ハンカチを使って芳香浴をする場合は、精油の種類によってシミになることがありますので注意が必要です。<インテリア小物を使った芳香浴>木製小物やフェルト小物に精油を垂らしておくだけで、その近くを通る度にほんのり精油の香りが感じられます。モノに精油を垂らすことに気が引ける場合は、拾ってきた松ぼっくりでも大丈夫です。参考:おうち時間にアロマテラピーを始めよう!(どこでも簡単芳香浴編)|AROMA SELECTアロマバスお風呂でリラックスしながら精油を楽しむアロマバスは、もっとも手軽な精油の使い方です。ヒノキの精油がおすすめです(ヒノキ風呂に代表されるように、ヒノキとお風呂は相性抜群です)。<アロマバスの作り方>キャリアオイル5ml(小さじ一杯くらい)に精油を1~5滴加えて、よくかき混ぜればバスオイルの出来上がり。このバスオイルをバスタブに入れて、よくかき混ぜてから入浴します。参考:和精油で温めろ!|AROMA SELECTフェイシャルスチーム感想対策には、精油を使ったフェイシャルスチームがおすすめです。<フェイシャルスチームの手順>洗面器に熱めのお湯(60度前後)を入れて精油を1~2滴落とします。洗面器のお湯より20~30cmくらい上に顔をもっていき、湯気が逃げないように、バスタオルを頭からすっぽりかぶり、目を閉じて蒸気を顔に当てます。1~2分間、ゆっくりと深呼吸をしながら蒸気を肌に浸透させてください。※必ず目を閉じて行ってください。※咳が出ているときは控えてください。スチーム後のお肌は、しっとりしてとても気持ちいいものです。後は、いつものスキンケアをすればOK(翌日の化粧ノリも良くなりますよ)。参考:精油でgoodbyeカサカサ肌|AROMA SELECT虫除けスプレー精油で作る虫除けスプレーは、虫除けだけでなく、ルームスプレーやリネンスプレーとしても活用できます。また、樹木系精油には抗菌作用も期待できます。クロモジ精油などを使うことで、洗濯物の生乾き臭対策にも使えます。<精油の虫除けスプレー(50ml)の作り方>①無水エタノール②精製水③ガラスビーカー④マドラー(ガラス撹拌棒があればなお良しです)⑤精油⑥スプレー容器(出来ればアルコール対応のもの)を用意します。初めにガラスビーカーに無水エタノールを5mlと精油10滴を入れます。次に無水エタノールと精油が混ざるようにマドラーでよくかき混ぜます。最後にスプレー容器に移し替えて、精製水45ml加えれば完成です。参考:精油パワーで夏に出没する奴らを回避!|AROMA SELECTご案内私たちアロマセレクトは、“Made in 富山”にこだわり、地元・富山県の豊かな森の恵みから丁寧に香りを抽出し、精油を生成しています。美しく豊かな自然を守るため、アロマセレクトでは間伐材を使用した精油を抽出。森を守る木こりさんと共に健やかな森を保つための山の管理にも貢献いたします。次世代へ豊かな自然を残していきたい。たとえ小さな一歩でも、できることから取り組んでまいります。アロマセレクト オンラインショップはこちらこの記事の著者について福井 千寿子富山県出身。自営業の傍ら、週末に山の手入れを行い、兼業農家であった祖父の背を見て育つ。里山での生活で、自然と共に暮らし、美しい景観を見ながら生活できることに何よりも豊かさを感じている。樹木の持つ心地よい香りと、何千年と生きる種の力強さに魅了され2020年よりアロマセレクトのブランドマネジャーに就任。山と木を愛する以外は全てにおいて平々凡々。